#04
AKMの電流センサーとA/Dコンバーターの組み合わせ方①

旭化成エレクトロニクス (AKM) のA/Dコンバーター (以下ADC) 連載シリーズ第4話。
モーター製品を製造開発する架空のモーター企業の社員A君が、K先輩や上司のM課長とADCの知識を深めていくお話です。

今回はAKMのコアレス電流センサーとADCを組み合わせた電流検知ソリューションを紹介します。

 

A君

「シャント抵抗だと発熱がきつくって。シャント抵抗をパラに並べると、実装面積も増えるのが難点なんですよね」

K先輩

「そんな時はAKMのコアレス電流センサーがお勧め。1次導体抵抗が1mΩ程度だから発熱量を劇的に抑えられるわ!」

A君

「わ! パッケージ小さいですね!」

K先輩

「一般的な電流センサーは磁性体コア付きなんだけど、『コア』が無いから『コアレス』なのね。コアを無くして表面実装型のパッケージを採用しているからとても小さいのよ」

M課長

「サイズ以外にも、コア付きの電流センサーに比べて大きなメリットが二点あるぞ」

A君

「なんですか?」

M課長

「一つは表面実装型だからマウンタで実装可能なこと。基板製造工程の低コスト化につながるぞ。もう一つ、モーター電流検知において一番重要であるゼロ電流入力時の出力エラーに磁気ヒステリシスが無いことだ」

A君

「磁気ヒステリシス? ゼロ電流入力時の出力エラーって、つまり電流センサーのオフセット電圧ですよね? ヒステリシスがあるんですか?」

M課長

「コアは磁性体だから原理的に磁気ヒステリシスが発生するんだ。磁気ヒステリシスによって、プラス側に電流を流してからゼロ電流に戻した時と、マイナス側に電流を流してからゼロ電流に戻した時とでオフセットの量が変わってしまう」

A君

「それは嫌ですね。単なるオフセットなら補正は簡単ですけど、ヒステリシスがあるとなると……」

M課長

「電流検知には致命的だ。だから、磁気ヒステリシスが全く無いコアレス電流センサーには大きなメリットがある訳だ」

A君

「へー、使ってみたくなってきました。電流センサー後段のADCはどれを選べば良いですか?」

K先輩

「電流センサーは内部に増幅回路を持っているから、前段アンプ内蔵製品じゃなくてADC単体製品で良いよ」

A君

「単体ADCはどういうのがあるんですか?」

M課長

「一般的にはΔΣ型、SAR型が有名だけど、最近は新しいタイプも出始めているぞ。AKMがリリースしたZDS型、ZDS-NS型なんかがその一例だな。SAR型とZDS型は、使い方は一緒だから大きく分けると3種類ある」 (図1)

図1. AKM ADC セレクションガイド

A君

「3種類もあるのかぁ。どうやって選べばいいんですか?」

K先輩

「シャント抵抗の後段によく使用される絶縁型ADCはΔΣ型の1bit出力モジュレーターが主流だから、これと合わせるなら、同じくΔΣ型の AK9223MK ね。デジタルインターフェースが同じだから、後段のデジタル回路はほとんど変えなくて済むよ」

A君

「それは楽ですね」

M課長

「ただ、ΔΣ型だと後段にデジタルフィルタが必要でフィルタ遅延も大きくなってしまう。より高速性が必要ならSAR型やZDS型のAK923Xシリーズだな。さらに、オーバーサンプリング機能も追加したい時はZDS-NS型の AK925Xシリーズだ」

A君

「……。たくさん選択肢があることはわかりましたー」

K先輩

「まずは一番ベーシックなSAR型のADCで電流センサーと組み合わせてみよう。コアレス電流センサー CQ3303 と12bit-SAR型の AK9235NK を組み合わせた場合の推奨回路はこんな感じね」 (図2)

図2. CQ3303 と AK9235 回路図

A君

「なるほど。周辺回路の参考にもなりますね」

K先輩

「電源ICにはリニアレギュレータ型とスイッチングレギュレータ型があるけど、電流センサーやADCには、リニアレギュレータを使うべき。AKMのLDO製品だと AP1150ADS50 とかね。これは5V一定出力のLDOよ」

A君

「VREFPピンとAINNピンにはオペアンプがいますね」

K先輩

「電流センサーの CQ3303 はシングルエンド出力だけど、ADCの AK9235NK は差動入力だから、基準となる電圧が必要なのね。そのために、電源5Vからボード上の抵抗分割で2.5Vを作って、オペアンプでバッファしてAINNピンに入れているよ。これで理想的にはゼロ電流入力時にADCがちょうど真ん中のコードを出力してくれるわ」

A君

「VREFPピンにもバッファが必要なんですか?」

K先輩

「これらのピンはADCの内部でスイッチトキャパシタ回路の構成になっているから、動作クロック周波数に応じて電流が引かれるの。低インピーダンスで駆動するためにボルテージフォロア構成にしているよ。AKMのオペアンプ製品だと AK2975H とかね」

A君

「ちょっと試してみようかな」

K先輩

「電流センサーとADCを一体にしたリファレンスボードも用意されているから、簡単に評価を始められるよ」

A君

「それはありがたいですね!」

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