歯車回転検出

 機械の高精度化に伴い、歯車回転を高分解能で高精度に検出することが求められつつあります。

磁界が変化することにより抵抗値が変化する素子(半導体磁気抵抗素子)を用いることにより、歯車

回転を高精度に検出する構成例を紹介いたします。

 

 半導体磁気抵抗素子による歯車回転検出                            

 ◆磁気式で回転を検出するメリット(光学式に比べて)

             1. 高回転まで検出可能

             2. 磁気を検出するため塵・埃・油などの汚れに強い

             3. 高出力であるためノイズに強い

             4. シャフト径への対応が容易

             5. 暗電流がない

 半導体磁気抵抗素子による回転検出の概要                            

   1. 半導体磁気抵抗素子の種類

 
 歯車検出には図のようなフルブリッジ構造のA相出力とB相出力をもった4端子磁気抵抗素子を用います。
 *現在・弊社のラインナップはすべてこの構造です。その他の構造につきましては御相談ください。
 

 

   2. 構成 

 
 半導体磁気抵抗素子とバイアス磁石を組み合わせて使用します。図に示すように半導体磁気抵抗素子の背面にバイアス磁石を配置します。バイアス磁石により動作点を0.4T以上にし、磁束密度変化に対して抵抗値の変化の割合が大きく、線形である領域で使用します。
 この配置において、歯車(磁性体)が半導体磁気抵抗素子面に対して平行方向に回転した場合に、半導体磁気抵抗素子における磁束密度が変化します。その磁束密度の変化を電圧の変化として取り出します。
 

   3. 磁気抵抗体と歯車の位置関係

 
 右図に歯車と4個の磁気抵抗体の位置関係を示します。ブリッジ構造の2個の磁気抵抗体(AまたはBをはさむ2個の磁気抵抗体)をp(pitch)/2の間隔で配置しており、さらにこの2つのブリッジはp/4ずれています。このように配置する事によりA相出力,B相出力は90°の位相差を持つようになります。
現在弊社では、JIS規格に準拠した歯車モジュールm=0.8( pitch=0.8π)、m=0.4( pitch=0.4π)、m=0.2( pitch=0.2π)の3種類の歯車(ギア)に対応した磁気抵抗素子を御用意しております。
その他のピッチに関しましては御相談ください。
 
   4. 歯車が回転したときの半導体磁気抵抗素子の出力電圧

  下記の条件で、歯車が回転した場合の磁気抵抗素子のA相、B相の出力電圧を示します。
下記の条件下では、A相、B相の出力電圧は共にVp-p≒500mV(中点電圧:2.5V±15mV)程度の擬似正弦波となり、

A相とB相の位相差はp/4(90°)であることが分かります。

 <測定条件>
■ 歯車:モジュールm=0.8(pitch=0.8π)
■ 歯車半径:51.2mm
■ 半導体磁気抵抗素子の品番:MS-0080
■ MS-0080のパッケージ表面と歯車の歯先の距離:0.5mm
■ 磁石サイズ:5.5×4.5×t5.0mm(着磁方向:t5.0mm)
■ 磁石材料:Sm2Co17(サマリウムコバルト磁石)
■ 半導体磁気抵抗素子の制御電圧Vc:5V
 
   5. 半導体磁気抵抗素子の出力電圧振幅Vp-pの周囲温度依存性

 下記の条件で、歯車が回転した場合における磁気抵抗素子の出力電圧振幅Vp-p の周囲温度特性を示します。

旭化成独自の半導体薄膜技術により、従来の半導体磁気抵抗素子と比較して著しく温度特性の良好な半導体磁気抵抗素子を実現しました。
-40~100℃の温度範囲で出力電圧振幅がほとんど変化しません。
 *バイアス磁石には温度特性の良好なサマリウムコバルト系磁石を用いています

 <測定条件>
■ 歯車:モジュールm=0.8(pitch=0.8π)
■ 歯車半径:51.2mm
■ 半導体磁気抵抗素子の品番:MS-0080
■ MS-0080のパッケージ表面と歯車の歯先の距離:0.5mm
■ 磁石サイズ:5.5×4.5×t5.0mm(着磁方向:t5.0mm)
■ 磁石材料:Sm2Co17(サマリウムコバルト磁石)
■ 半導体磁気抵抗素子の制御電圧Vc:5V
 
   6. 半導体磁気抵抗素子の出力電圧振幅Vp-pのGap依存性
   下記の条件における、半導体磁気抵抗素子の出力電圧振幅Vp-pのGap(パッケージ表面と歯車の歯先との距離)依存性を示しています。

 *バイアス磁石には温度特性の良好なサマリウムコバルト系磁石を用いています

 <測定条件>
■ 歯車:モジュールm=0.8(pitch=0.8π)
■ 歯車半径:51.2mm
■ 半導体磁気抵抗素子の品番:MS-0080
■ MS-0080のパッケージ表面と歯車の歯先の距離:0.5mm
■ 磁石サイズ:5.5×4.5×t5.0mm(着磁方向:t5.0mm)
■ 磁石材料:Sm2Co17(サマリウムコバルト磁石)
■ 半導体磁気抵抗素子の制御電圧Vc:5V
 

 ◆ 7. 半導体磁気抵抗素子の出力電圧振幅Vp-pの周波数依存性

 <測定条件>
■ 歯車:モジュールm=0.8(pitch=0.8π)
■ 歯車半径:51.2mm
■ 弊社半導体磁気抵抗素子の品番:MS-0080
■ MS-0080のパッケージ表面と歯車の歯先の距離:0.5mm
■ 磁石サイズ:5.5×4.5×t5.0mm(着磁方向:t5.0mm)
■ 磁石材料:Sm2Co17(サマリウムコバルト系磁石)
■ 半導体磁気抵抗素子の制御電圧Vc:5V
 
  8. 歪率とは

ある条件下で歯車を回転させて測定した半導体磁気抵抗素子の出力電圧のFFT解析結果を図に示します。このように半導体磁気抵抗素子

からの出力電圧信号には、小さいながら高調波成分が重畳しており、理想的な正弦波からのズレがあります。このずれの度合いを表す指標

として歪率というものが一般的に用いられます。歪率 K(%)は、出力電圧波形が理想的な正弦波に比べどの程度歪んでいるかを示し、

各離散周波数の振幅を知る事で以下の式を用いて算出することができます。

 


  E1:基本波の振幅
  E2:2次高調波の振幅
  E3:3次高調波の振幅
  E4:4次高調波の振幅

 
 9. 半導体磁気抵抗素子の出力電圧の歪率のGap(パッケージ表面と歯車の歯先との距離)依存性

歯車が回転する事によって得られる半導体磁気抵抗素子の出力電圧は、波形歪が非常に小さく理想的な正弦波に近いものが得られます。

ある条件下で歯車を回転させて測定した半導体磁気抵抗素子の出力電圧のFFT解析結果を図に示します。このように半導体磁気抵抗素子

からの出力電圧信号には、小さいながら高調波成分が重畳しており、理想的な正弦波からのズレがあります。このずれの度合いを表す指標

として歪率というものが一般的に用いられます。歪率 K(%)は、出力電圧波形が理想的な正弦波に比べどの程度歪んでいるかを示し、

各離散周波数の振幅を知る事で以下の式を用いて算出することができます。

 <測定条件>

  • ■ 歯車:モジュールm=0.4(pitch=0.4π)
  • ■ 歯車半径:51.2mm
  • ■ 弊社半導体磁気抵抗素子の品番:MS-0040
  • ■ 磁石サイズ:4.4×4.4×t5.0mm(着磁方向:t5.0mm)
  • ■ 磁石材料:Sm2Co7(サマリウムコバルト系磁石)
  • ■ 半導体磁気抵抗素子の駆動電圧:5V


 

 

 用途                                                       

  高精度が要求される産業機械を初め様々な分野・用途での回転検出が可能です。

  ■ 工作機械:スピンドル主軸制御
  ■ エレベータ、エスカレータ制御
  ■ 電動射出成形機主軸制御

 

 

 

 

 

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