#13
フォトダイオードの出力に適したA/Dコンバーターは?

第13話。光学式エンコーダを例に AK924X の使い方を紹介します。

 

A君

「フォトダイオードは光学式のエンコーダでよく使ってますけど、後段回路を設計したことないんですよ。スリットやフォトダイオードの設計はしているんですけど」

K先輩

「フォトダイオードの後段回路は、(1) トランスインピーダンスアンプ (以下TIA) を使う方法と、(2) 外付けの抵抗でI-V変換する方法の2つが基本かな」 (図1)

図1. I-V変換する構成比較

A君

「I-V変換っていうのは、電流-電圧変換のことですっけ?」

K先輩

「そうよ。センサー出力が電流出力型の時に必要よ。電流出力型センサーの代表格がフォトダイオードね」

K先輩

「(2) の抵抗でI-V変換してからハイインピーダンスでバッファする方法はわかりやすくていいんだけど、フォトダイオードの逆電圧が変動してしまうことと、周波数応答性を高くできないことがデメリットね」

A君

「電流出力型のセンサーの場合、ローパスフィルターってどうやって計算するんですか?」

K先輩

「出力端子に接続されている抵抗と容量から計算できるよ。この容量はフォトダイオードの接合容量が支配的な場合が多いね。例えば接合容量が30pFで、I-V変換抵抗を130kΩにすると、カットオフ周波数は40kHzね」 (図2)

図2. 電流出力型センサーの等価回路

A君

「40kHzって低めですね。光学式エンコーダのスリット数が500だとして、モーター回転数6000rpmの時に出力周波数は50kHzだから、高回転時に出力波形が減衰しちゃいます。容量や抵抗を小さくしないと」

K先輩

「容量はフォトダイオードでほぼ決まるから、小さくしにくいのよ。だからと言って、抵抗を小さくすると出力電圧が小さくなるでしょ? 出力電圧が小さいってことは信号が小さいわけね。結果として、ノイズ特性が劣化してしまうのよ。応答性を改善したい時は (1) のTIAを用いるのがお勧め」

A君

「TIAを用いるとなんで抵抗を大きくできるんです?」

K先輩

「TIA構成だとアンプがフォトダイオードの出力を一定電圧に抑えてくれるからね。詳しくは自分で回路の伝達関数を解いてね」

A君

「ふーん。確かにうちの製品でもTIAを使っていますね」

K先輩

「TIA構成の注意点だけど、TIAは入力負荷容量に敏感だから、下手に設計すると発振してしまうわ」

A君

「げ、発振! 嫌な響き……」

K先輩

「オペアンプの位相補償をきちんと設計する必要があるよ。使用するオペアンプのデータシートも読んで、使えるかどうか判断しないとね」

A君

「うーん。自信ないなぁ」

K先輩

「それにTIAの入力ラインはかなり繊細なの。PCB基板で無駄に引き回してしまうと、電磁ノイズを拾いやすくなってしまって特性が劣化しやすいよ」

A君

「なかなか上級者向けですねー、僕にはまだ無理ですかねー」

K先輩

「そんな君に朗報なのが、AKMの前段アンプ内蔵ADCである AK924Xシリーズよ。なんとTIAが内蔵されているの!」

A君

「え、AK924X って計装アンプ入力でしたよね?」

K先輩

「ホール素子やSMR素子のような電圧出力型センサーの後段に使用する場合は計装アンプ入力モードを使用するけど、実は電流出力型センサーの後段のために、TIA入力モードも選択可能なのよ」 (図3)

図3. AK924X シリーズのブロック図

A君

「計装アンプもTIAも選択できる……、なんてゴージャスなんだ!」

K先輩

「微小電圧にも微小電流にも両方対応、各種センサー後段に最適な前段アンプ内蔵ADC、それが AK924Xシリーズよ!」

A君

「キャッチーな宣伝を入れ込みましたね」

K先輩

「4mm角/3mm角のQFNパッケージだから、フォトダイオードのかなり近くまで配置できるよ。しかも AK9242/43 ではアノード、カソードコモン接続のどちらにも対応しているのよ」

A君

「でも、内蔵されているから逆にTIAのスペックがわかりにくいですね。発振とか不安……」

K先輩

「入力負荷容量が100pFまでは発振しないように設計が最適化されているのよ」

A君

「へえー。じゃあ入力負荷容量だけ気を付ければいいんですか。それでTIAの設計をしなくて済むのは楽だなぁ」

K先輩

「ちなみに AK9240NK の方には、LEDドライバーやオートパワーコントロール回路まで入っているのよ」

A君

「詰め込んでますねー」

K先輩

「AK9242/43 は4.2V、AK9240 は2.7Vまでの低電源で動くのも嬉しいね」

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