検索
Image of language 日本 | 日本語
あなたの国または地域を選択してください

search

技術情報

電子コンパス

電子コンパスの基礎知識

このページでは「電子コンパスとは何か?」「電子コンパスはどのように役立っているのか?」といった基本的な疑問にお答えします。

電子コンパスを利用するにあたって知っておくとためになる知識を、動画を交えて分かりやすく解説します。

電子コンパスとは?

様々なところで使われている電子コンパス。中でも、最も私たちに身近な存在なのが携帯電話・スマートフォン・タブレット端末等の「携帯端末」です。

方位磁針としての役割は勿論、GPSによる位置情報との組み合わせによる携帯端末のナビゲーションアプリにおける、地図のヘディングアップ(※)の目的で多く用いられています。みなさんも一度は使用したことがあるのではないでしょうか? この動画では「電子コンパスとはいったいどういうものなのか」を分かり易く説明していきます。

※ヘディングアップ:常に自分の進行方向が上になるように地図の表示を調整する機能のこと

さて、初めに車で使用されているカーナビゲーションシステム(カーナビ)の例についてお話しします。

カーナビはGPSを利用することにより、自分が進んでいる方向を地図上に表示しています。交差点を曲がると地図も回転して表示され、常に進行方向が上を向くようになっています。これは、ある一定の時間間隔でGPSより車の位置情報を取得し、そこから車が移動した軌跡を計算することで、どちらの方向にどのくらい走ったかを推定して地図上に表示しているためです。

しかし携帯端末を用いた歩行者ナビゲーションシステム(歩行者ナビ)では、GPSだけでなく、電子コンパスも使用されています。どうしてでしょうか?

実は、携帯端末による歩行者ナビとカーナビとでは事情が異なっています。

歩行速度は車の速度と比較して非常にゆっくりであるため、GPSの位置検出精度では人間が歩いた軌跡を正確に知ることができず、進行方向を推定できないのです。また、電波の状態が悪いビルの陰などではGPS信号を受け取れないため、進行方向を推定できたとしても大きく精度が落ちるので実用には適しません。
さらにGPSでは、仮に自分の位置を正確に知ることができたとしても、静止した状態で自分が向いている方向を知ることはできません。

地下鉄の出口を出た時にどちらに歩けば目的地に着くのか、といった情報は携帯端末のGPS機能だけでは得ることができないのです。

そこで必要となってくるのが「電子コンパス」です。

方位磁針と同じように、地磁気を検知する機能をもつ電子コンパスを搭載していれば、動いていなくとも自分の向いている方向がどちらなのか知ることができます。

電子コンパスを搭載しているからこそ、携帯端末の地図アプリやナビゲーションアプリにて、「地図のヘディングアップ」が可能となるのです。

電子コンパスの仕組み

小学校の理科の授業で方位磁針について勉強したことを思い出してみましょう。

方位磁針の赤い針(N極)が常に北を指すことを学びましたよね。方位磁針が北を指すのは地球が大きな磁石になっているからです。
地球の北極近くが磁石のS極にあたるため、方位磁針のN極側の針が磁力により北に引っ張られ、方位を知ることができるのです。

この地球上のS極を「磁北極」、地球に生じている磁力(磁石の力)を「地磁気」と呼んでいます。

地球を取り巻く磁力線を見ると分かりますが、赤道の上では平行になっていても極に近づくに従って角度が変わります。つまり、磁北極では、方位磁針が北ではなく「下」を指します。但し、磁石を頼りに北へと進んだとしても実際は北極にはたどり着けません。なぜでしょう?

実は地図上の北極と、地球の磁北極とは一致していないのです。

地磁気は、地球内部にあるマントルの流れによってできていると考えられています。地球が誕生してから、マントルや太陽などの影響により何度もN極やS極が入れ替わったり、ずれたりしてきました。そして現在、磁北極は北極点から11度ずれた北カナダにあります。

電子コンパスは方位磁針と同様に地磁気を利用して方位の情報を提供する電子部品です。

ただし、電子コンパスには方位磁針の代わりに、 微弱な地磁気を検知することのできる磁気センサが使われています。方位磁針とは違い、方位情報を得るためには地磁気の水平方向成分がどちらを向いているかを知る必要があります。

電子コンパスは磁気センサを用いて地磁気の大きさを電気的に計測し、 その測定値を計算することで、方位情報を算出しています。

「GPSと電子コンパスがあれば簡単に歩行者ナビが実現できる」と思われるかもしれませんが、現実はそう簡単ではありません。コンパスの機能を携帯端末に組み込むためには、地磁気の測定に大きな障害となる幾つかの課題を解決しなければならないのです。

たとえば、携帯端末で使用されているスピーカーやメモリーカードなどの磁性を持った部品の影響や、端末の近くに磁石を近づけるなどして起こる磁気(外乱)の影響を解決する必要があります。これらの影響を取り除くため、旭化成エレクトロニクスでは、電子コンパスの周囲からの磁気の影響を自動的に推定し補正するインテリジェントな「Dynamic Offset Estimation:DOE(R) (動的オフセット推定)アルゴリズム(※)」を開発・提供しています。

磁場の影響の補正や調整の技術が、携帯端末で電子コンパスを正しく機能させるために上で不可欠の要素となっているのです。(方位磁針ではこのような磁場の影響を取り除くことはできません。)

(※)DOEアルゴリズム…公益社団法人発明協会が主催する平成24年度全国発明表彰において『恩賜発明賞』を受賞しました。