ベルリン・フィルハーモニー 第 1 コンサートマスターの 樫本大進、 最新の “VELVET SOUND” を体感

2023 年 6 月、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第 1 コンサートマスター、樫本大進氏が旭化成エレクトロニクス (AKM) のオーディオルームを訪れ、フラグシップ DAC ソリューション AK4191, AK4499EX を用いた、64-bit  シグナルプロセシング技術のデモを試聴。

また、ガレージラボにて、最新の VELVET SOUND for Cars ソリューションを体験した。

64-bit 処理の音とは

佐藤友則 : 

樫本さん、お久しぶりです。本日は、今年の 5 月にドイツの展示会でデモを行った、64-bit プロセシング技術による音のデモを試聴いただこうと思います。

64-bit というと馴染みが無いかと思いますが、CD プレーヤーから来たデータをこの AK4191 が 64-bit で計算している。その情報を AK4499EX に入れています。曲は、ショスタコービッチの交響曲、第九番の第 1 楽章をお聴きください。

64-bit 処理の音とは
64-bit 処理の音とは

樫本大進 :

やっぱり音はリアルになりますね、(16-bitの音と) 聴き比べないとわからないですけどね。

佐藤 :

音像や音場が違ってくると思っています。音像というと立体感ですね、64-bit になることでだいぶ出てきている。あと、音場というと、鳴っている「場所」ですね。これも明らかに 64-bit の方が良い。CD なのでソースは 16-bit ですが、計算した誤差のようなものがどれだけあるかで音が変わってくる。そこを正しく演算すれば、こんな音が入っている、ということを実感できます。

樫本 :

16-bit 以上の情報は CD から出て来ないのではないですか?

佐藤 :

結局、計算して色々なことをやると、16-bit にデータがぴったり収まりきらないんですね。デジタルフィルターで計算した時の、小数点以下の細かいデータがあって、それを演算すると、実は音がもっとたくさん出てくる。それを余すことなく計算して、再生するとこんな音がします。なので、元のデータは 16-bit で変わらないんですが、誤差が出ないようにきちんと計算して音にしてやるとこんな感じになります。

せっかくなので他の音源も再生してみましょう。 (クライスラーの自作自演集を再生)

64-bit 処理の音とは

樫本 :

全然違う。古い方がもっと違いが出そうです。雑音なんかも逆にはっきり聴こえて、びっくりしました。

VELVET SOUND for Cars を体験

成山航 (シニア・オーディオテクノロジー・プロフェッショナル) :

本日は、車向けのオーディオの音作りを体験頂こうと思います。自動車では、IC だけではなく、その IC に組み込むオーディオ用のソフトウェアとチューニングを提供しています。

VELVET SOUND for Cars を体験
VELVET SOUND for Cars を体験

樫本 :

これは、この車の標準のスピーカーが搭載されている?

成山 :

おっしゃる通りです。標準装備のいたって普通のスピーカーになります。

樫本 :

僕、自分が乗っている(海外有名ブランドの高級スピーカーが搭載されている)車、すごく音が良いって言われてるんですよね。音の良さで車を選んだくらいです。

だから、聴き慣れているその音と(今聴いているこれは)同じくらい音が良いな、と思ってびっくりしたんですけど。

成山 :

「車の中でもオーディオルームのような体験を」という想いで取り組んでいます。「車内のダッシュボードの上に楽器やボーカルを配置し、コンサートホールを再現する」というコンセプトで音づくりをしています。

樫本 :

素晴らしい。全然違います。本当にすごい。これ、例えばクラシックじゃないジャンルの音だったら、もっとその差が大きいんでしょうね。

車の中で音を聴くことの方が多い

車の中で音を聴くことの方が多い

樫本 :

今だと、みなさん車の中で音楽を聴くことの方が多いんでしょうね。家だと何かやりながら聴く。僕も、気になる曲を集中して聴くときは車の中で聴く。

僕の車で (チューニングを) やって欲しい。

楽しかったです。ありがとうございました。

プロフィール

Daishin Kashimoto Daishin Kashimoto

ヴァイオリニスト 樫本大進 Daishin Kashimoto 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 第1コンサートマスター

フリッツ・クライスラー、ロン=ティボーの両国際音楽コンクールでの1位など、5つの権威ある国際コンクールで優勝。マゼール、小澤征爾、ヤンソンス、P.ヤルヴィなど著名指揮者のもと、国内外のオーケストラと共演。室内楽でも、クレーメル、堤剛などと共演を重ね、現在、兵庫県で「ル・ポン国際音楽祭~赤穂・姫路」を音楽監督として率いている。主なCDに、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(ワーナー・クラシックス)など。2010年にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団第1コンサートマスターに正式就任。ソリスト活動と並行し、ヨーロッパ楽壇の最前線で活躍している。これまで、恵藤久美子、田中直子、ザハール・ブロン、ライナー・クスマウルに師事。使用楽器は、株式会社クリスコ(志村晶代表取締役)から貸与された1744年製デル・ジェス「ド・ベリオ」。

Tomonori Sato Tomonori Sato

オーディオマイスター 佐藤友則 Tomonori Sato 

1998 年、旭化成に入社。入社当初よりオーディオ用IC の開発に携わり、2007年に32 ビットDAC およびADC を企画。

2009 年に旭化成エレクトロニクスのオーディオマイスターに就任、以降VELVET SOUND シリーズとしてAK4490R / AK4493S / AK4499EX などのDAC チップを世に送り出し、多くのオーディオ機器に採用される。またマイスター監修のサウンド・システムの音質は、国内外のオーディオ評論家より好評を博す。

Wataru Naruyama Wataru Naruyama

シニア・オーディオテクノロジー・プロフェッショナル 成山航 Wataru Naruyama 

2010年入社。以来、スマートフォン、Bluetoothイヤホン、車載など様々な分野のオーディオ用ICの開発に携わる。
オーディオマイスターから受け継いだ技術を基に、各分野で高音質なオーディオ体験を提供し、数多くの採用実績を有する。

About VELVET SOUND

VELVET SOUND

VELVET SOUND は、AKM オーディオデバイスのブランドです。

「原音重視」という思想のもと、あらゆる角度から追い込み作り出されたテクノロジーを駆使し、あますことなく全てを表現した”まるでそこにいるかのような”音の世界をお届けします。

* VELVET SOUND ™ 、VELVET SOUND | VERITA ™ は、旭化成エレクトロニクス株式会社の商標です。

velvetsound.akm.com
by ASAHI KASEI MICRODEVICES

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