ホールセンサーの まとめ

#02 磁気センサー 基礎知識

磁気センサーの中で、ホール効果を利用したセンサーをホールセンサーといいます。ホールセンサーには、ホール効果で得られたホール電圧 (VH) をそのまま出力するホール素子と、ホール出力を IC 処理することで High/Low のデジタル出力にしたホール IC、ホール出力を増幅してリニア出力するリニアホール IC があります。

ホール素子

特徴

半導体膜に端子を付けただけのシンプルなセンサーなので、後段の回路設計によってデジタル的用途にもアナログ的用途にも使えます。得られる出力電圧は数十~数百mV程度です。

出力特性

出力電圧は、センサーに垂直に印加した磁場の大きさに比例し、磁場の向きに応じて正負の電圧を出力します。垂直な磁場が無い時の出力電圧は0Vです (*1)。

*1 実際は、磁場無しの場合でもオフセット電圧が存在します。

図1.ホール素子の出力特性 図1.ホール素子の出力特性

使用方法

入力はコントロール電圧 (またはコントロール電流) と GND の2 端子、出力は差動出力 2 端子の計 4 端子です。最大定格以下であれば、定電流駆動、定電圧駆動どちらでも使用できます。

図2.動作回路図 (参考図) 図2.動作回路図 (参考図)

用途

DC ブラシレスモーター、スマートフォンやデジタルスチルカメラのレンズアクチュエーターに使用されています。

ホール IC

特徴

ホール素子の出力をある閾値でコンパレートし、High/Low 出力します。出力電圧範囲が電源で規定されるため、後段のマイコンで受けやすくなっています。磁場の強弱を検出できるスイッチタイプと、磁場の極性を検出できるラッチタイプがあります。

出力特性

出力電圧は、センサーに垂直に印加した磁場の大きさによって High と Low の 2 値を持ちます。また、S 極検出、N 極検出、両極検出があります。

磁場の大きさが Bop を上回ると出力が Low になり、Brp を下回ると出力が High になります。Brp、Bopには Brp<Bop の(ヒステリシスを持つ)関係が成り立っています。

図3.S 極検出のホールICの出力特性 図3.S 極検出のホールICの出力特性

使用方法

入力は VCC、GND の 2 端子、出力は 1 端子。ホール素子に図 4 の様な IC を組み合わせ、定電圧駆動で使用します。

図4.動作回路図 (参考図) 図4.動作回路図 (参考図)

用途

スイッチタイプは家電の開閉スイッチ、ラッチタイプは DC ブラシレスモーターや回転検出などに使われています。

リニアホール IC

特徴

ホール素子の出力をアンプで増幅し、リニア出力 (*2) します。出力電圧範囲が電源で規定されるため、後段のマイコンで受けやすくなっています。

*2 この時の出力はレイル・トゥ・レイル(Rail-to-Rail)となります。

出力特性

出力電圧は、センサーに垂直に印加した磁場の大きさに比例します。磁場が無い時の出力電圧を VCC/2 とし (*3) 、磁場の向きに応じて 0V~VCC までの電圧を出力します。

*3 実際は、磁場無しの場合でもオフセット電圧が存在します。

図5.リニアホール IC の出力特性 図5.リニアホール IC の出力特性

使用方法

入力は VCC、GND の 2 端子、出力は 1 端子です。ホール素子に図 6 の様な IC を組み合わせ、定電圧駆動で使用します。

図6.動作回路図 (参考図) 図6.動作回路図 (参考図)

用途

液面計や電流センサー、角度検出に使われています。