FAQ & 用語解説
磁気センサー 基礎知識
FAQ (よくある質問と回答)
[A-1]
ホール素子と半導体磁気抵抗素子は、キャリアにローレンツ力が作用する効果を利用しているところは同じです。ホール素子はホール効果を利用し、ローレンツ力により発生する起電力を電圧として検出するデバイスで、単体素子として使われます。
これに対し、半導体磁気抵抗素子は磁気抵抗効果を利用し、ローレンツ力による抵抗値の変化を電圧として取り出すデバイスです。実際のデバイスは、多数の抵抗体を直列に結線した抵抗素子を1パッケージ内に複数(2つ又は4つ)内蔵した構造で、これら2又は4素子の抵抗分割による分圧を電圧として取り出すデバイスです。
そのため、2又は4素子に位相の異なる磁場を印加するような使い方をします。
以上から、ホール素子と半導体磁気抵抗素子は同じものではありません。また、その違いは以下の各々のセンサとしての特性と、具体的なアプリケーションを見て頂けるとより分かります。
ホール素子
ローレンツ力により発生した起電力は磁場の極性により+/-の極性があるため、ホール素子は磁場の強さと磁場の向き(S極/N極)を検出することができます。また、0から±数100mTの広いレンジで磁場を検出を検出することができるため、この磁場範囲における磁極変化を検出するアプリケーションで使われます。
ホール素子の代表的なアプリケーション例:
例)DCブラシレスモータのS極N極検知、磁石のS極N極の周期を検知し回転数をみるなど
半導体磁気抵抗素子
半導体磁気抵抗素子は、ローレンツ力により発生した抵抗値の変化を利用するため、磁場の強さは検出できますが、磁場の向き(S極/N極)は検出できません。
半導体磁気抵抗素子の抵抗値変化は低磁場(凡そ0~数100mT)では非常に小さい為、高磁場(凡そ、400mT以上)での磁場変化を検出する用途に使われます。
また、高磁場で使用することで磁場に対する抵抗変化の直線性が向上し、磁場の変化に対して歪の少ない出力波形を得ることが出来るというメリットもあります。実使用時は、バイアス磁石を設置して磁場を増大させる方法が一般的です。
半導体磁気抵抗素子の代表的なアプリケーション例:
例)歯車の回転検出、紙幣の磁気インク読み取り
用語解説
センサーを扱う際によく出てくる技術キーワードをピックアップ
磁場の強さ (H) に透磁率 (μ) をかけたものを磁束密度 (B) という。磁束密度の単位は一般的にテスラ [T] を使用。
デジタル出力のセンサの場合、出力を 1 コード変化させるために必要な磁場変化量の最小値を指す。例えば、感度が ”1.1 [μT/LSB]” というセンサの場合、 1.1 [μT] の磁場変化が発生するとセンサの出力コードが初めて変化する。分解能と同義。
センサーに対してどの方向 (X,Y,Z軸方向) から磁場が印可されても検知可能なセンサーのこと。AKM では ”Tri-axis Magnetic Sensor” や ”3D Magnteic Sensor” の名称で呼ばれている製品群。