ホール素子の原理と種類
#03 磁気センサー 基礎知識
ホール素子とは、ホール効果 を利用し、磁場 (B) に比例した電圧 (VH) を出力する素子です。図1a の端子 2、4 の差動出力が、図1b に示すホール素子の出力です。
駆動方式
ホール素子には、「定電流駆動」と「定電圧駆動」の二つの駆動方式があります。どちらで駆動するかにより、温度特性のパラメータが異なります。
定電流駆動
端子1、3に一定の電流 (IC) を入力した場合、端子 2、4 に出力される電圧は、次の式で表すことができま
VH = RH・(1 / d)・IC・B
ここで、RH はホール係数、d は端子面に垂直方向の半導体膜の厚さです。RH は、電子の電荷eとキャリア濃度 n を用いて以下の様に定義されます。
RH = 1 / (e・n)
定電流駆動の出力電圧の温度特性は、この RH の温度特性で決まります
定電圧駆動
端子 1、3 に一定の電圧 (VC) を入力した場合、端子 2、4 に出力される電圧は、次の式で表すことができます。
VH = μH・ (W / L) ・VC・B
ここで、μH は電子移動度、W、L は端子面の 2、4 方向、1、3 方向の長さです。定電圧駆動の出力電圧の温度特性は、この μH の温度特性で決まります。
オフセット電圧 (不平衡電圧)
ホール素子には、磁場が印加されていなくても出力電圧が発生する場合があり、これをオフセット電圧 (不平衡電圧) といいます。このオフセット電圧は、製造時の意図しないばらつきなどによって発生し、温度特性もあります。加えて、オフセット電圧は温度やパッケージに加えられる応力、例えばモールド樹脂吸湿による応力の変化などによっても変動します。
ホール素子のオフセット成分は、図3a の様な 4 つの抵抗値のブリッジ回路で表すことができます。この 4 つの抵抗値が全て等しい場合が、オフセット 0 の場合です。
また、オフセットがあると、出力電圧特性は図3b の様にシフトした形になります。
ホール素子の種類
AKM は、半導体膜材料の異なる3種類のホール素子 (超高感度ホール素子、高感度ホール素子、低ドリフトホール素子) を提供しています。それぞれのホール素子の材料はインジウムアンチモン(InSb)、インジウムヒ素(InAs)、ガリウムヒ素(GaAs)です。ホール素子として現在主に使われている半導体材料はこの 3 種類になります。(表1)
シリコン (Si) も代表的なホール素子材料の一つですが、感度が小さいためホール素子としては使用されておらず、ホール IC として使用されています。ホール素子の感度は半導体材料の移動度に比例します。温度特性は様々な要因が影響しますが、主にはバンドギャップの大小関係で決まります。ホール素子の材料によって出力電圧の温度特性や感度が異なるため、用途によって使い分けます。特徴は以下のようになります。
* 材料中に Ga, Sb 等も含みます。
特徴
・HW series:3 つのホール素子の中で最も感度が高いホール素子です。
・HG series:3 つのホール素子の中で最も温度特性が安定したホール素子です。
・HQ series:3 つのホール素子の中で、感度も温度特性もバランスの取れたホール素子です。
図4は、3 種類のホール素子を同じコントロール電流 (Ic=5mA) で定電流駆動した際の出力電圧特性です。
図5は、3 種類のホール素子を同じコントロール電圧 (Vc=1V) で定電圧駆動した際の出力電圧特性です。
選ばれる理由
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ここではなぜ AKM のホールセンサーが広く皆様に選ばれているのかを紹介します。