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超高感度 ホール素子

磁気センサー基礎知識 #04

技術解説

超高感度 ホール素子

インジウムアンチモン
(InSb) 

ホール素子の原理と種類 では、3種類のホール素子 (超高感度ホール素子、高感度ホール素子、低ドリフトホール素子) を紹介しました。

このページでは、超高感度ホール素子のアプリケーション例について説明します。

半導体材料 (AKM製品名)

インジウムアンチモン:InSb (HWシリーズ)

特徴

3つのホール素子の中で最も感度が高いため、磁場の変化を瞬時に検出することに優れています。また、定電圧駆動の場合、定電流駆動より安定した温度特性が得られます。(「ホール素子の原理と種類」参照 ) 

代表的なアプリケーション

(1)

DCブラシレスモーター

DCブラシレスモーターとは直流電流で回転する、高効率でメンテナンスフリーなモーターです。エアコンのファンモーターや白物家電製品のメインモーターなどに採用されています。代表的な直流モーターとしては、図2の様なブラシ付きのモーターがありますが、ブラシ付きのモーターではコイルに流す電流を切り替える整流子 (図2のRotor部分) と電源を供給するブラシが物理的に接触、離反を繰り返すため、接触部分が摩耗し寿命が短くなります。DCブラシレスモーターは、この切り替えをセンサーの出力信号を元に電気的に行うので、長寿命なモーターです。

DCブラシレスモーターの主要構成部材は、磁石、ホール素子、コイルです。ローターと呼ばれる中心部の回転体に図1のように磁石を配置し、ステーターと呼ばれる外側の固定部分に取り付けたホール素子で、ローターからの磁場を検出します。各ホール素子で検出された磁場の情報をもとに、それぞれのコイルに電流を流し、電磁石を作ります。電磁石の作る磁場の強さや向きをタイミングよく制御し、ローターの磁石とコイルの電磁石が反発・吸引する力を利用してローターを回転させています。

図1. インナーローターのDCブラシレスモーターの原理図 DCブラシ付きモーターの原理図
図2. DCブラシ付きモーターの原理図

また、実際のホール素子にはオフセット電圧が存在するため、ホール素子が磁石の位置を検出するタイミングに影響します。下図3 ( 上 ) は磁石の回転を 感度が高いホール素子 ( 青線 ) と 感度が低いホール素子 ( 黄線 ) で検出した場合の出力電圧例です。通常オフセット電圧がない場合は、出力電圧のプラス/マイナスの切り替わりが磁石のN極/S極の切り替わりに対応します。しかし実際には図のようにオフセット電圧が存在するため、出力電圧のプラス/マイナスの切り替わりと磁石のN極/S極の切り替わりにずれが発生します。

下図3 ( 下 ) はオフセット電圧を持ったホール素子で、出力電圧のプラス/マイナスをもとに、N極/S極の切り替わりを検出した場合の検出タイミング図です。感度の低いホール素子を使った場合、オフセット電圧の影響により、S極/N極の検出に大きなデューティー比のずれが見られます。しかし、InSbのような感度の高いセンサーは、オフセット電圧に比べて出力電圧が大きいため、S極/N極の検出のデューティー比のずれが小さく、この情報をもとに安定して磁石を回転させれば、モーターの回転効率が良くなります。

図3. ホール素子によるモーターの磁極の検出

(2)

クローズドループ型電流センサー

磁気式の電流センサーは、測定対象の電流線の周囲に発生する磁場(磁束密度)を測定することで、電流量を検出するセンサーです。

クローズドループ型電流センサーは、太陽光発電のパワーコンディショナーのAC検知部などで採用されています。電流から発生する磁束密度についてはビオ・サバールの法則により、下記の式で表されます。

 

図4. ビオ・サバールの法則概念図

B=μ0/(2×π×r)×I

B:磁束密度
μ0:真空透磁率
r:電流線からの距離
I:電流

この式から分かるように、電流と磁束密度は比例関係になっており、ホール素子で電流線から発生する磁場を測定することで電流線に流れる電流量を正確に測定することができます。また、この方法は従来の測定対象の電流線に直接シャント抵抗(電流電圧変換用の小さな抵抗)を入れて電圧を測定する方法とは違い、測定対象の電流線とセンサー信号を絶縁した状態でロスなく測定できるメリットがあります。

クローズドループ型電流センサーは、磁気式の電流センサーの中でもフィードバック制御することで精度よく電流量を検出できる点が特徴です。クローズドループ型電流センサーの主要部材は、電流線、磁場を集めるコアと呼ばれる磁性体、コイル、ホール素子です。入力電流線の周りを覆うようにコアを配置し、コアのギャップ部にホール素子を配置し、さらにこのコアにコイルを巻き付けておきます。入力電流線に電流が流れると、発生した磁場はコアに集められホール素子に印加されます。

フィードバック回路は、このホール素子の出力電圧をもとに入力電流から発生する磁場と逆相の磁場が発生するように、コアに巻き付けたコイルに電流を流しホール素子の出力電圧が常に0Vになるように補正します。この時コイルに流した電流量から、入力電流線に流れた電流量を計算することができます。クローズドループ型電流センサーはホール素子の出力電圧が0[V]かそうでないかを検出するため、感度の高いInSbを使用することで電流量を精度よく検出することが可能になります。

図5. クローズドループ型の電流センサー