充電ステーション

電流センサー

本ページでは、急速充電ステーションの電源モジュールに搭載されている PFC 回路の一例として、三相 VIENNA PFC 回路をご紹介します。さらにその三相 VIENNA PFC 回路の電流検出に最適な AKM の推奨製品をその優位性とともに提案します。

充電ステーション( 充電スタンド )

地球温暖化の原因である CO2 ガス排出量の約 20% は、交通や運輸によるものであり、その中で最も排出量が多いのは乗用車です。国際エネルギー機関は、2050 年までに CO2 排出実質ゼロを実現するためには、「 2035 年までに、ガソリンなど燃料を燃やして動く内燃エンジン車( ICE 車)を廃止する必要がある」と発表しました。

それを機に、世界各国で、環境規制強化や EV 車への優遇措置が取られ始めた結果、電気自動車の普及が急速に進んでいます。特に中国は、電気自動車の年間売上高は世界全体の半分を占めており、世界最大の電気自動車市場となっています。

電気自動車需要増加に伴い、欠かせないのが充電設備です。街中にガソリンスタンドがあるように、電気自動車の充電ステーションがいたるところに作られています。2020 年の世界の EV 充電インフラの数は公共のものだけで 250 万台となっています。2025 年には 1,000 万台近くになるといわれています。このように急激に普及していることが分かります。

街中に置かれる充電ステーションには急速充電と呼ばれる DC 電源を用いた充電方式が採用されています。急速充電ステーションには、複数のスイッチング電源モジュールが搭載されており、エネルギーを送る心臓のような役割をしています。この電源モジュールには PFC 回路が内蔵されています。

PFC とは、Power Factor Correction を略したもので、「力率改善回路」のことを指します。一般的なスイッチング電源では、入力電流に高調波電流が発生してしまい、力率が低下します。近年、この高調波電流を抑制し、力率を向上させることを定めた、高調波電流抑制規定が制定され、スイッチング電源などに PFC 回路を内蔵することが定められています。

例えば、現行の EU 規格 EN61000-3-2(IEC 61000-3-2 に基づく)に適合するには、出力電力が 75W を超えるすべてのスイッチング電源で力率 0.9 以上を満たす必要があります。PFC 回路を内蔵していない、スイッチング電源の力率は単相で 0.65 程度、3 相で 0.85 程度です。PFC 回路を内蔵することで、力率を 1.0 に近づけることができます。そのため、単相または 3 相いずれのスイッチング電源も、PFC 回路を使わないと現行の高調波電流抑制規定に適合することはできません

図1 充電ステーション(充電スタンド)の電流検出位置 図1 充電ステーション(充電スタンド)の電流検出位置

三相 VIENNA PFC 回路に最適な電流センサー 

急速充電ステーションの電源モジュールは特に効率を重視します。そのため、急速充電ステーションの電源モジュールには、効率を高めやすい三相 VIENNA PFC 回路がよく用いられます。

図2は、三相 VIENNA PFC の回路図です。

この三相 VIENNA PFC 回路においては、スイッチング制御の目的で電流センサーが使用されます。スイッチング素子の ON/OFF のタイミングを決めるために、電流センサーを用いて入力電流の極性の切り替わりのタイミングを正確に検出する必要があります。

また、高電圧側で電流を検出しなければならないため、一次側と二次側の間で絶縁を取る必要があります。

そのため電流検出方式としては、”電流センサー IC”や”シャント抵抗+絶縁アンプ”が一般的に用いられます。

 

図2 三相 VIENNA PFC 回路 図2 三相 VIENNA PFC 回路

VIENNA PFC 回路は・高力率・高効率・小型化と言った特長があります。しかし、電流検出方式の特性によっては VIENNA PFC 回路の特長をうまく活かせません。

 

・高力率

電流検出時に、零電流電圧がずれると、スイッチの ON/OFF のタイミングがずれてしまいます。それにより、THD(Total Harmonic Distortion 全高調波歪み)位相ずれが発生してしまい、力率が悪化します。

→ AKM の電流センサーは零電流電圧の温度特性が小さく、精度が高いため、高力率を実現できます。 

 

・高効率

電流検知部に電流が流れた際の発熱によってエネルギー損失が起こる

→ AKM の電流センサーは一次導体抵抗値が小さく、低発熱なため、高効率を実現できます。

 

・小型

電流検知部が大きい、または周辺部品が多いと小型化が妨げられる

→ AKM の電流センサーは小型表面実装パッケージ・低背性のため、小型化を実現できます。さらに、実装自由度が高く、レイアウト設計がしやすいです。 

         

下記の表1では、”AKM の電流センサー IC”、”他社コアレス電流センサー”、”シャント抵抗+絶縁アンプ”のそれぞれの特徴をまとめています。

表1 電流検出方式の比較

表1 電流検出方式の比較

AKM の電流センサー IC  (コアレス電流センサー) は、

  • 高精度
  • 低発熱
  • 小型
  • 高速応答

 

など、充電ステーションにおける PFC 回路に必要な特性をすべて兼ね備えています。

また、面実装パッケージでガルバニック絶縁を実現しているため、システムの効率向上および安全機能を損なうことなく、システムの小型化、回路の簡略化および設計工数の削減を実現することができます。

 詳しくは以下で解説しております。

セレクションテーブル

Current 
Sensor 
Type
Package Supply
Voltage
Output
Voltage
Effective
Current
Measurement
Range
Bipolar /
Unipolar
Ratiometric/
Non-Ratiometric
Creepage
Clearance
Working
Voltage *
Product 
Name
Product
Series
[V] [V] [Arms] [Apeak] [mm] [Vrms]
Coreless SOP 5.0 5.0 60 ± 5.3 to ± 180
Bipolar Retiometric ≧ 8.0 1118 CZ370x CZ37 シリーズ
0 to 345.2 Unipolar CZ372x 
3.0 50 ± 11.6 to ± 166.6 Bipolar Non-Ratiometric CZ3AGx CZ3A シリーズ
3.3 3.3 ± 12.9 to ± 129.1 CZ3A0x
5.0 5.0 20 ± 4.5 to ± 42 Bipolar
Retiometric ≧ 5.0 1000 CQ330x CQ3 シリーズ
± 20.5 to 42 Unipolar
3.3 3.3 ± 8.5 to ± 44 Bipolar CQ320x
20.9 Unipolar
Through
Hole 
DIP 5.0 5.0 50 ± 21 to ± 170 Bipolar ≧ 13.3 1330 CQ233x CQ2 シリーズ
3.3 3.3 ± 21 to ± 85 CQ223x
5.0 5.0 ± 170 ≧ 2.7 270 CQ2366