#01 ACCT と Currentier
ACCTって?
メリット / デメリットは?
どうやって置き換えれば良いの?
電流検出の豆知識
電流センサー
シンプルな電流検出方式の1つとして"ACCT"という方式があります。
ACCT の最大のメリットは、安価であることです。一方でデメリットは、DC が測定できず精度が悪いことです。
"DC が測定できないために、追加したい機能が実現できない"といった際には、AKM のコアレス電流センサー:Currentier への置き換えがおすすめです。
1. ACCTとは?
ACCT とは、カレントトランスと呼ばれる電流検出方式で、シンプルに CT と書かれることも多くあります。ここであえて"AC" CT と書いたのは、この電流検出方式は、原理的に DC 電流を測定することができず、AC に特化した電流検出方式であるためです。
[注意]
ホール素子と磁性体コアを用いた電流センサーを"DCCT"と呼ぶことが時々あります。その原理は、コア付電流センサーと同じです。ここで紹介するACCTとは、原理から異なりますのでご注意ください。
ACCT は、充電ステーションやパッケージエアコン (PAC)、無停電電源 (UPS) などの SiC/GaN を用いた次世代パワーデバイスの電流検知によく使用されています。
2. なぜ DC 電流は測定できないの?
カレントトランスが、なぜ原理的に DC 電流が測定できないか?というと、電磁誘導を用いているためです。
図1に磁石とコイルを示します。
この磁石をコイルに対して近づけたり遠ざけたりすると、コイルの中の磁場が変化します。この"磁場の変化"を打ち消すように、コイルに電流が流れます。これが電磁誘導の法則です。
図2にカレントトランスの構造図を示します。
一次側に測定電流 (AC) が流れると、一次側のコイルに"磁場の変化"が発生します。二次側では図1で示した電磁誘導の法則により、この磁場の変化を打ち消すように電流が流れます。この電流を負荷抵抗を用いて電圧に変換します。これが ACCT の原理です。そのため、"磁場の変化"が発生しない DC の電流は測定することができません。
3. ACCT のメリット / デメリット
ACCT のメリット / デメリットは、下記の通りです。
【メリット】
【デメリット】
上記のようなデメリットにより、測定精度が必要とされない分野 (家電等) が中心となります。
4. ACCT から Currentier への置換
近年、家電も進化してきており、必要な機能が変化しています。その機能を実現するため、
といったときに、小型・高精度で使いやすい Currentier がおすすめです。
図3のように、CT の出力電圧を任意の電圧に増幅させて使用する場合、出力電圧 VOUT は、下記で表せます。
図 3 に示した CZ37 シリーズでは、VDDを印加するだけで、下記の出力が得られます。
"Sens"は電流感度であり、製品ごとに温度特性含めて安定な数値に設計されています。
例:CZ3700 電流感度 = 400mV/A
上記の通り、ACCT と Currentier の出力電圧は、同様の式で記述できます。つまり、ACCT から Currentier に置き換えたい場合は、係数K と同じ電流感度の製品を選べばよい事がわかります。このように置き換えは簡単ですので、設計工数をなるべくかけずに、まずは試していただければ幸いです。
今後も、大電流 / 高速なコアレス電流センサー IC のラインアップを予定しておりますので、ご期待ください。
関連情報
AKM のコアレス電流センサー IC ”Currentier" の情報は、下記をご覧ください。
AKM のコアレス電流センサー IC "Currentier"
小型パッケージおよび低発熱による機器の小型化
幅広い電流測定範囲による基板共通化と低発熱による熱設計の簡素化
絶縁距離の確保と過電流検知機能
高精度・低ノイズ・良温度特性によるシステム効率アップ